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私は石灰を材料としたフレスコ技法を使って平面作品を制作しています。一枚の絵画を仕上げるということは、支持体の上に様々な試みを刻みながら、その集積を拾い集め、また解体をする…その繰り返しだと考えています。その地道な反復作業により制作を進めていくわけですが、当然思いどおりにはいきません。自分は進んでいるのか、後退しているのか、居場所すらわからず迷路に入りこんでしまったような気分になることは珍しいことではありません。しかし、その作業による痕跡の示すものが、自分が予想もしなかった場所であった時に、ようやく少しだけ報われる思いがするのです。